「応援ありがとな!
勝ったぞー!」
嬉しそうな君は
さっきとは
別人のように無邪気だ。
「お疲れ様」
弱虫な私には
〝かっこよかったよ〟
なんて、言えない。
それでも、
そう思っていることが
伝わっていますように。
祈りながら
鏡の前で練習した
笑顔を見せる。
「んじゃ、まだ
時間も早いし、
どっか飯でも行きますか」
君の友達は、
そういって私に微笑みかけた。
「あ、鞄、持とうか」
タオルに自分の飲み物に
飴にケータイに財布。
そんな細々したものが
入った鞄。
「重くないから、いいよ」
「ダメダメ、お礼!」
ひょいっと君が
私の鞄を持ち上げる。


