あの子と笑顔と、
君の最後の言葉と、
二人が食べるであろう
クレープを思いながら
一人、
木枯らし吹く道を帰った。
「明日は、会わなきゃいいな」
マフラーの中で小さく
呟いた。
あの子は今、
君と私がしたことを
一つずつ追いかけているのかな。
【私しか知らなかった君】は
【あの子しか知らない君】に
なってしまうのかな。
それでも私は
あの子を恨むわけでも、
君を嫌うわけでもなく、
ただ、ゆっくり
諦めてゆきたい。
でも、まだ…
君が大好き。
今年、1番冷たい風が
私の髪をふわりと撫でて
走っていった。
そう、まるで
別れ際の君のように。
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