大切なキミへ。 短編集☆





少し遠くを歩く二人を、
追いかけるような形で
そっと後ろを歩く。



あと、100mで別れ道。



ケータイを取り出して
いじるフリ。

しっかりと繋がれた二人の手を見るのは
あまりに辛すぎたから。






「あっ!」

あの子の声に思わず顔を上げた。

あの子は私を見て、
楽しげに手を振っている。


私はぎこちなく…
ぎこちなく笑い手を振りかえした。



あの子は私と君のこと、
知らないもんね。