「はぁ…はぁ……ったく…何やってんだよ、こんな所で…」 切らしながら吐き出す息は白く、今まで全力で走っていた様子が窺える。 「ごめんね?この木があんまり綺麗だから…」 藍はそう言うとまた桜を見上げた。 藍につられるように、海斗も見上げる。 はらはらと降る雪が、海斗にも桜の花びらのように見えた。 「…確かに…綺麗だな……ってそうじゃなくて!!あと十分で集合時間なんだよ!急がないと間に合わねぇよっ」