キミがいた夏~最後の約束~






「ううう…ヒック…う…ヒック…」



「嘘でしょ?」

綾香が静かに問いかける


「……ヒック……ヒック…」


「嘘なんでしょ?」


綾香がもう一度聞くけれど
久美は何も言わずに俯き加減で泣き続けていた


それは綾香の質問を、暗に肯定しているようにもとれる


それに納得出来なかった綾香は久美に駆け寄った
そして久美の両肩を掴んで揺さぶりながら

「なんとかいいなよ!!嘘なら嘘っていってよ!!」

そう願うように綾香は久美に問いかけていた


私もまったく同じ気持ちだった


信じられなかった


久美が…


私を一番に心配してくれた久美が…


そんなことをしたなんてどうしても思えなかったから


でも私は気付き始めていた


あの教室に入ったときの違和感…


釈然としない気持ち…




私はあの筆跡の主を知っていた