え……?
何を言っているの?
私たちの後ろ?
だってそこには…
頭をガツンと鈍器で殴られたような衝撃に、小さな目眩を覚える
振り返るとそこには顔面蒼白で小刻みに震える久美が立っていた
「あんた…この期に及んでそんな嘘…」
綾香がやっとのことで話し出す
「嘘なもんですか、本人に聞いてみればわかることでしょ?」
春奈は、綾香の腕から素早くすり抜けパタパタとホコリを払うようにしながら
「ごめんね~久美ちゃん、黙ってられなくて~?」
謝る気など微塵も感じさせない口調で
久美の近くを横切りながら校舎の中に消えて行った
私も綾香もそんな春奈を追いかけることを忘れて、ただただ今春奈の言った言葉を頭の中で反芻していく
残された私たちの間に流れる沈黙
誰も何も話さない
話してしまえば何かが壊れてしまう予感に誰もが怯えていた
そして、その沈黙に耐えきれなかったのだろう
久美が私たちの前で突然に泣き崩れた
「ウワァァァァァ!!!」



