橘先輩は私の腕を掴んでグイグイとどこかに引っ張っていく
どこに行くんだろう?
そんな疑問を先輩にぶつけられないまま
やがて歩くスピードは弱まっていく
そして先輩に腕を掴まれたまま、しばらく歩いていくと使われていない空き教室の前で立ち止まった
先輩は私の腕を強く握ったまま教室に足を踏み入れていく
私もそれに続いた
シンとした教室の中は、なんだか静かすぎて居心地が悪い
中に入った後も先輩は私の腕を離さなかった
「先輩…手を…」
離して…
言おうとしたけれど、こちらを振り向いたその瞳に見つめられて何も言えなくなる
「離したら、逃げるだろ?」
「……逃げませんよ…」
私がようやくそれだけ言うと、先輩は私の腕を離して近くの椅子に腰かけた



