私には7歳離れた『卓』という弟がいた
私が12歳、たっちゃんが5歳
たっちゃんはとても私になついていて
何をするのもどこに行くのもいつも手を繋いで歩いた
ある夏の陽射しの照り返す暑い日に
私たち家族は海に出掛けた
私とたっちゃんは、2人で海で遊んだ
波が高いから沖の方に出てはいけないよ
親からきつく言われていたけど
内緒で行くことにした
浮き輪も持っていたし
軽い気持ちで行ったんだ
最初のうち2人は大ハシャギで遊んだ
たっちゃんもすごくすごく楽しそうで
私もたくさんたくさん笑ってた
だんだん疲れてきて帰ろうと思ったその時
大きな大きな波が
突然私たちに覆い被さった
突然のことで何が何だかわからなかった
息ができなくなて
どちらが上か下かもわからなくて
苦しくて苦しくて
私はギュッと握っていたはずのたっちゃんの手を離してしまったんだ
「あ~らら、こわいわぁ~~」



