キミがいた夏~最後の約束~




「今日はテイクオフまで送る」


「え?」


「もう治ってきたし行ける」


「ダメ!無理!」



帰り際、玄関先でそんな押し問答を繰り広げる



「明日の抜糸まではお願いだから大人しくしてて?」


私の願うような眼差しを感じてくれたのだろうか


橘先輩は少し困った顔をしながらも小さく頷いてくれた



「大丈夫!また明日も来るね」


「ああ」



また明日


その繰り返される日々の中で


私に残された時間はどれぐらいあるのだろう


そんなバカな予感と恐怖に怯えながら


それでも私は払拭することのできない不安と戦っていた


言い様のない不安…


このままでは終わらない


あの日…


自分の家を見た時に感じた予感…