私たちは屋台を抜けて、少し広くなった空き地にある積み上げられた大きな石の影で身を隠す
「はぁはぁ…なんだあいつらの…あのナンパに対する執念は…」
「はぁ…はぁ…」
私は呼吸をすることが精一杯で話すことすら出来ない
気がつくと花火はもう始まっていた
ヒュ━━━……
ド━━━━━ンッッ……‥
真っ暗な空に、赤く轟く閃光が広がる
こんな状況にあってもとても綺麗に見えた
するとその時
「みーつけた」
そんな狂喜を含んだ嫌な声が耳の中に響いて振り向くと
皮肉にも花火は私たちの居場所を、影としてクッキリと相手に教えている
「ちっ」
舌打ちしながら汗を滲ませている橘先輩
「そっちが出てこないならこっちから行くよぉ?」
そう言われて、すぐに橘先輩は立ち上がると
私に、ここにいて隙があれば逃げてっとだけ言って飛び出していった
嫌だ
一人で逃げられっこない
そんなこと出来ない
震える両手を組んで祈るように自分の胸に引き寄せる
どうか…
どうか…助けて…



