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「あの…わざわざ送ってもらってありがとうございました」
ペコリと少し大げさにお辞儀する私
橘先輩が私の家の近くまでわざわざ送ってくれたのだ
「暗いから当たり前だって、そんな気にすんなよ」
先輩はポケットに手を突っ込んだままなんでもないことの様に言うけれど
「でもご飯までごちそうになっちゃって…本当にすみません」
私はペコリと申し訳ない気持ちでもう一度頭をさげていた
「もうそれもいいって~
さっき散々聞いたし、俺が誘ったんだし」
そう言われても、こういうことが慣れていない私は申し訳なさが込み上げてくる
「なんか…新鮮だね」
「え?」
「こんなことでそこまでお礼言われんのって新鮮」
「そうですか…?」
思いがけない言葉に橘先輩を見ると嬉しそうに笑っていた
私はその言葉をどうとらえていいのかわからず微妙な顔をする
「親とか大丈夫?怒られない?」
「あ…はい、あの多分まだ帰ってないと…」
「そ、んじゃ俺も帰るわ」
そう言って橘先輩がクルリと私に背を向けた時
先輩のもう乾いた襟足が目に入った
フワフワ柔らかそうな髪だなぁ…
やっぱり触ってみたい…
まあ一生無理だろうけど



