私はそうして我に返る
前を向くと自分の手を見て立ち尽くしている橘先輩
「橘…せんぱ…」
すると先輩はその手を握って俯くと
「ごめん…今日は送ってやれない…」
そう言ってまた私に背中を向けて
私から逃げるように早足に行ってしまった
私はその背中を見送りながらその場から一歩も動けない
ああ…
どうしてだろう…
どうして上手く伝えられないんだろう
お母さん
私は人をどうやって愛せばいいかわからないよ
誰かを愛せば愛すほど
その人が不幸になっていくようで
こわい…
こわいよ…
「…ヒック……ヒック…」
私は夜道を泣きながら歩いていた
その光景はとても奇妙で不気味だっただろう
それでも涙はとまることはなかった



