橘先輩が私と彼を瞳に捉えて立ち止まる
一瞬の沈黙
するとすぐに酒屋の彼は橘先輩を一瞥した後
私の手を離して何事もなかったように去っていった
うう…
ますます気まずい…
残された私は彼に掴まれていた所をさすりながらそんなことを考えていた
それを橘先輩が見ていたことを後になって知ることになる
グイッッッ━━
「え………」
突然凄い力で手を掴まれて引っ張られる
「ちょっと…先輩…痛い…」
そんなことを言う私をお構いなしに、グイグイと尚も引っ張り続ける橘先輩の顔はすごく不機嫌そう
怒ってるのは私のほうなのに、どうしてそんな顔をするんだろう
「離して先輩…!」
その願いが聞き入れられたのは、建物と建物の間の狭い路地まで連れて行かれてから
そこで強く掴まれていた手がようやくとかれた



