キミがいた夏~最後の約束~





突然、強い力で腕を掴まれてハッとして振り替える


橘先輩がもう追いかけて来たのかと思った


でも違った


私の腕を掴んでいたのは泥棒…


じゃない…昨日ぶつかった酒屋のバイトの彼だった



「え…?」



私は益々意味がわからなくて、彼の顔をジッとみると
彼は冷たい目をこちらに向けて静かに喋り出した



「どこ行くの?お店そっちじゃないよ」



抑揚のないその話し声…


なんだか落ち着いてると言うよりも、彼の目と同じでゾクッとさせられる響きがあった



「あ…買い出し…行くから」


私は咄嗟の嘘を付いたけれど


「手ぶらで?」



う…バレてる…


そりゃそうだ…


でもこの人に関係ないんじゃない?


どうして放っておいてくれないんだろう…



そんなことを思っているとテイクオフの扉が勢いよく開いて、こちらに誰かが走って来るのが見えた



あ…


まずい…