突然、強い力で腕を掴まれてハッとして振り替える
橘先輩がもう追いかけて来たのかと思った
でも違った
私の腕を掴んでいたのは泥棒…
じゃない…昨日ぶつかった酒屋のバイトの彼だった
「え…?」
私は益々意味がわからなくて、彼の顔をジッとみると
彼は冷たい目をこちらに向けて静かに喋り出した
「どこ行くの?お店そっちじゃないよ」
抑揚のないその話し声…
なんだか落ち着いてると言うよりも、彼の目と同じでゾクッとさせられる響きがあった
「あ…買い出し…行くから」
私は咄嗟の嘘を付いたけれど
「手ぶらで?」
う…バレてる…
そりゃそうだ…
でもこの人に関係ないんじゃない?
どうして放っておいてくれないんだろう…
そんなことを思っているとテイクオフの扉が勢いよく開いて、こちらに誰かが走って来るのが見えた
あ…
まずい…



