その日、バイトが終わって橘先輩にメールしてみる
《バイト終わったよ》
何となく恐くて核心にせまらないような当たり障りのないメール
もしかして私の思い過ごしで橘先輩はそんなこと気にかけてもいないかも…
そんな淡い期待を胸にメールしてみたけれど
当たり前のように返信はなかった
でも電話をすることも出来ないぐらい臆病な自分が顔を出す
「もう…やだなぁ…」
そう言って橘先輩から貰ったストラップを指でつつく
チリチリン…‥
可愛らしい音色が反対に切ない
そんな…
橘先輩を思って眠れない夜は初めてだった
翌日…
その日もテイクオフは相変わらず忙しく、外はうだるような暑さ
まさに海水浴日和
そんな中、
事件はお店の中で起こった
休憩が終わって
裏口から入らずに表から入ったのがまずかった
本当はまずくないんだけれど…
原因をそうと考えると心が落ち着く
ガチャン
チリリーン━━━……‥
相変わらずの鈴の音が事件の始まりを告げるように鳴り響いた



