あの日…
公園にこっそり一人で遊びに行った私は、砂場で必死でお城を作っていた
『うーん…トンネルがうまくあかないなぁ…』
そんなことを言いながら必死で手を動かす
私…5歳の春…
すると横から
『もっとまわりを固めてから掘ると崩れないよ?』
そんなことを言われてお城に集中していた顔をふいに持ち上げると
そこには綺麗な女の人が立っていた
ただ綺麗と言うわけではない
優しそうな満面の笑顔を私に向けていて
私は小さいながらにその笑顔に心を奪われていた
『おねーさん…だれ?』
私は恐る恐る聞いてみた
だってお父さんに知らない人と話したらいけないってキツく言われている
でも私は話しかけずにいられなかった
だって目の前のその人は、私に他人以上の…ううん
何か上手くは言えないが、そんな暖かな視線を送ってくれたから
『ん?おねーさんって言ってくれるの?かわいいねぇ?』
そう言って私の頭をやさしくやさしく撫でてくれる
私は無条件でその人が大好きになった
その2日後…
お父さんが家にその人を連れてきた
『美鈴…新しいお母さんの美保さんだよ』
私はドキドキした
うれしさと…言い様のない喜びで、飛び上がるように喜んだ