キミがいた夏~最後の約束~




朦朧とする意識の中


バシャバシャバシャ━━━
━━━━━…………


誰かの近づいて来る水音だけがやけに響く



「やだ!美鈴!」


あ…


綾香?


どうしてここがわかったの?


ああ…そうか


私…行動範囲が狭いものね


あれ?泣いてるの?


大丈夫だよ…大丈夫


少し疲れているだけ



すると誰かが私をフワリと抱き上げる



「美鈴!!!」



ああ…


この声は橘先輩だ


表情は見えないけれど2人ともひどく焦っているみたい



「大丈夫だ…すぐに病院行くからな」




え…?

病院━━━!?



まって


まって


病院は嫌だ


この傷を見られたら言い訳が出来ない


お父さんをまた傷つけてしまう



「まって……」


私は朦朧とする意識の中、声を無理やり絞り出した



「何?何いってるの?」


「病院は……嫌……」


「何言ってんだよ…こんなになって!」


「嫌……」


涙が一筋流れる


「お願…い…」


いや…涙なのか雨なのかもうわからない


「わかった…わかったからもう喋るな!」


先輩の悲痛な叫びが聞こえる


橘先輩は私を大事そうに抱え直すと


二人はどこかに向かって走り出した



ごめんね…


でも私は大丈夫…


私…こうみえて強いんだよ