『そう言えば、台風来てるみたいだな』
「え?そうなの?」
私はそう言って窓の外に目をやる
庭に生えている木々が暗がりの中、いつもより傾いているように見えた
『まあ直撃はしないみたいだけど』
「そうなんだ…よかった」
『うん、波乗りには打って付けの天気』
「え!?こんな日にサーフィン?」
『そうそう』
「危ないからやめなよ…」
私は心底心配になった…
そんな海に出て橘先輩にもしものことがあったら
想像しただけで…いや、想像もしたくなかった
そんな私の不安を感じ取ったように橘先輩は話し出す
『俺は死なないよ?』
「わかんないよ!」
『…………』
「わかんない……」
橘先輩は私の剣幕に少しとまどっていたのかもしれない
でも私は言わずにはいられなかった
「お願いだから…やめて?」
今、橘先輩に何かあったら私は今日の日を一生後悔するだろう
どうしたって行ってもらいたくはない
『……わかった…』
橘先輩は少し残念そうにでも私の言うことを聞いてくれた
私はその返事を聞いていくらか安心したが不安は常につきまとう
その時
ガタンッッッ━━━!!!
階段の下で大きな物音がした



