「昔、取材で現場に行ったことがあるのよね…」



都さんがポツリポツリと話し出す



「自宅の団地の7階から飛び降りたんだけど…」



みんな都さんの話しに耳を傾ける



「他と違って残酷だったのが…」



私も割れたコップを拾いながら静かに聞いていた






「父親が自分の息子の目の前で飛び降りたらしいの…」







私はその話を聞きながら、小さく震えていた


その手を綾香はずっと静かに握り続けてくれる



「本当に無念だった…あの時のあの男の子の目

何もうつしてない虚空を漂うガラス玉のような瞳が悲しくて忘れられない…」




誰ひとり言葉を発することなく、その悲しい話を聞いていた









自殺━━━━━━……‥‥
……………‥‥‥‥‥












お母さん…どうしたの?


どうしてそんなところにいるの?


早く降りて…?


降りてきて…


私…謝るから


謝るから…お願い…