「うわぁ~先輩、ありがとう!」
「まあ、なんと言うかよかったね」
まだ納得していないような顔の橘先輩
私はそれを気にせずに携帯電話を開けたり閉めたり
新しいオモチャを手にいれた子供のようだ
「さっそく綾香に電話してみようかなぁ~」
「携帯番号知ってるの?」
…………
知らなかった……
家の電話にかける気でいたとは馬鹿にされそうでとても言えない
「貸して」
橘先輩が私から携帯電話を取り上げると、何か手早く操作してまた返してくれる
「これ、俺の番号とメールアドレス」
「あ、うん!」
すごい…これからいつでも先輩の声が聞けるんだ!
なんだかとってもうれしくて橘先輩に笑顔を向けると
先輩は、私を見て照れた顔をしながら
「これ、残ったお金」
そう言って封筒を差し出す
携帯電話が安くついたのでまだかなりお金は残っていた
「これ使ってどっかでごはん食べよ?」
「え?いいよ、とっとけよ」
「え?でもこれ先輩が働いた報酬も入ってるし」
「いいの」
「でも」
「だからいいの、初デートぐらい奢らせて」
そう言われてキョトンとする
そうだ、これってデートなんだ
なんだか突然、緊張と恥ずかしさが襲ってくる
先輩は私の手を取って再び歩き始めた



