キャンパスの一角で毎日繰り広げられるお決まりの光景



雪のように真っ白でスベラかな肌



美しく艶やかな髪



誰もが羨むその容姿



向坂真琴(サキサカマコト)はキャンパスの大輪の華と称されていた





「真琴さん、おはようございます」


「おはよう」


うっす!


「今日も美しいなぁ〜」


「やだ、そんなことないわよ」


そう見えるあんたの目がクソなんだ



「謙遜するなんて、心まで綺麗だなぁ〜」



ああ…話にならない




私はうんざりしながら、口角を無理やり持ち上げて薄目で彼を見つめ返した




「うわぁ〜天使の微笑み〜」



ふん…



みんなバカでうんざり



何が綺麗だ



何が天使だ



こんな真っ黒な女どこにもいない



あんたたちの勝手な幻想だけで編み上げた、向坂真琴を演じてやってるだけだ