「あんな事があった後だもん…仕方ないよ。」 「あのさ…」 「何?どうしたの?」 「聞きたい事があるんだ…」 「うん?どうかした?」 「あたし、一人旅行の最中に事故に遭って記憶を失ったって…聞いてるんだけどさ。 本当…なのかな?」 少し伏し目がちに聞いていた彼女は困ったように笑う。 「周囲がそう言っていたなら…そのはずじゃない?」 「あたしは花梨に聞いてるんだ…。」 花梨はあたしが社会人になってから初めてできた親友。