「ウソつけ!
あのちっこい宮迫に、こんなオトナな妹いるワケねーだろ!
姉の間違いじゃね!?」
「くくく…なんかウケる…!
オモシロすぎっ!」
慌てまくるタクムのよこで、何がツボったのか大爆笑のリッコ。
一番ビックリなのはオレだよ、オレ。
「…ちょっと、失礼じゃない?
アタシ中2なんですケド」
不機嫌そうに眉をひそめる自称妹。
えっと、ほのかだっけ。
「ごめんごめん、ほのかちゃん。
なんだ、柚子の妹だったんだ。
まぁフツーは驚くと思うし、許してよ」
「まぁ、しょーがないなぁ…
って、そんな話じゃないっての!」
ほのかは再び瞳に怒りをともらせた。
なんかこれ、デジャヴ感じる。
「あんた、自分がちょっとイケメンだからってチョーシ乗らないでよね!
お姉ちゃんは純情なの。
チャラチャラしてるあんたとは違うのよ。
可愛いからって、お姉ちゃんを軽い気持ちでひっかけようってんなら、アタシがぶっ殺す!!」
「………」
マジもんの殺意だった。
ガチなシスコンって、こんな怖い生き物なのかよ。
「…なんか、勘違いしてるみたいだけど、別にオレ、柚子を狙ってるワケじゃないよ」
「はぁ?
じゃあ何なのよ」
「あの子、面白いから。
普通に友達になりたいだけだよ。
彼女にしたいとかじゃなくて、普通に仲良くしたい。
ま、まだちょっと難しいけどさ」
「…ふぅん」
女子中学生が汗だくのデブオタクを見やるような目で、こっちを眺めるほのか。
柚子みたいなタイプも未知との遭遇だったけど、このほのかもなかなかに衝撃的な出会いだな。
ちなみに、あんまり嬉しくはない。
「そういうことだから。
納得してくれた?」
さっさと帰ってほしい一心で、ほのかに爽やかスマイルを向けると。
シスコン美女はニヤリと不吉な笑みを浮かべて。
さっきのと比にならないような、とんでもない爆弾を落としていった。

