「あの、すみません。
ちょっと聞いていいですか」
「なになにー?
何でも聞いてよ!」
真っ先に答えたのはタクムだった。
突然美人に話しかけられて舞い上がってるのが丸わかり。
アホだ。
「あ、助かります」
慣れてるのか、出待ち美女はあまり気にならないらしい。
ほっとした様子で、彼女は続けた。
「じゃああの、天瀬圭って人、知りませんか?
ここの一年生なんですけど」
「えええ!
ちょお、お前こんな美人と知り合いかよ!?」
え、いや、全然知らない子なんだけど。
「あ、オレだけど。
天瀬圭。
なんか、用?」
「へ、あんた?」
オレが名乗った瞬間美女は目を丸くして、急に胡散臭そうな顔つきになった。
「へぇ、あんたが天瀬圭なんだ。
ふぅーん」
そう言いながら、品定めするようにオレの全身を眺める謎の美女。
ちょっと待て。
何なの、お前。
困惑していると、彼女はいきなりオレの胸ぐらをつかんできた。
さすがにこれにはビビる。
「ちょっと、さっきから何なの。
初対面の人間に失礼なんじゃない?」
「うっさいな。
あんた、あんまりお姉ちゃんにまとわりつくんじゃないわよ」
「…お姉ちゃん?」

