キミはリア充。



「ゆーず。
今日、放課後ヒマ?
どっか遊びに行かない?」

「ヒマじゃない。
断る」

相変わらずな反応。
可愛げのないヤツめ。

「ふーん。
この前は空いてたのに?」

「あの日はたまたまバイトが休みだったからな。
今週は忙しい」

「バ、バイト…!?」


嘘だ!
この子バイトとかしてたの!?


「はっ、バイトするのがリア充ばかりだと思うなよ」

根暗のコミュ障にも等しく労働の機会は訪れるのだ!
とか言って偉そうにする柚子。


まぁ驚いたけど、正直大学入ればどんな根暗なヤツでもバイトくらいやってるしなぁ。


「よしよし。
えらいえらい」

しかししょーもないコトでドヤ顔してくる柚子がなんだかかわいかったから、頭をナデナデしようとすると。

「馴れ馴れしく触るなリア充め。
ふん、気持ち悪い」

ばしっと手を払いのけられた。
悲しい。

「もー、わかったから、あんま触んないからさ。

土日くらいは空いてるんじゃないの?」


まさかこの無気力そうなインドア女子高生が、休日までバイト漬けってことはないだろ。
絶対引きこもって怪しい本ばっか読んでるね。

と思ったら。


「日曜日は家の手伝いで忙しい。
あと土曜日はな…」


そこで柚子は。


クラスでは完全孤立、常時独りメシの、残念な高校生の代表みたいな女にあるまじきことに。




ちょっと照れたように頬を染めて。





「友達と約束があるのでな。
無理だ」


まじで。
キミ、友達、いたの。


「柚子って、友達とかいたんだ」

「刺し殺したくなるような失礼さだな。
友達くらいいるに決まっているだろう」

「あのさ」

その友達って。


別に気になるワケでも何でもないのに。


なんとなーく、その場のノリで、オレは聞いてしまった。



「その友達って、女の子?」



「いや、男だが」






まじかよ。