「ねーねー、宮迫さんって可愛いね」
「……」
「お腹減ってるの?
さっきからずっとポテトつまんでるけど」
「…ジャンクフードは嫌いじゃない」
部屋の隅に目をやると、黙々とポテトを食す柚子とそこに群がる西高の男どもの図が見えた。
話しかけるな、と顔に書いてるのにも関わらず、めげないで特攻を続ける野郎どもは健気ですらある。
柚子も柚子で振り払いきれないようで、眉間のシワを深くしながら渋々対応しているようだった。
…この状況は予想してた。
宮迫柚子が合コンしてるという絵面はフツーに面白いし、昨日のヤキ入れの軽いお返しにもなってると思う。
でも、なーんとなく面白くない、ような気もする。
「なにボーっとしてるの?
次、圭クンの番だよぉ」
「圭クンのミスチル、チョー聞きたいかも!」
柚子ばかり見てるヒマはないんだった。
眼中になくても、女の相手はソツなくこなす。
それがオレのポリシーだ。
「じゃー、がんばっちゃうかな!」
気合いを入れてマイクを受け取る。
さぁ、オレの美声に酔いしれるがいい、頭の軽い女たち。

