「柚子がさー!
カラオケの未成年犯罪が怖いから、入りたくないんだって!」
あんまりツボったから、思わず大きな声で言ってしまった。
「ええーなにそれ!
宮迫おもしろっ」
「大丈夫だよ~宮迫。
カラオケはそんな怖いトコじゃないからね!」
笑いが巻き起こる。
みんなの軽い説得を受けて、柚子は俯いて真っ赤になりながらカラオケの入り口をくぐった。
会場らしい部屋につくと、西高のメンツはもうそろっていた。
「リッコぉ~、遅いじゃん!
もう歌っちゃうとこだったよ?」
気合を入れて来たらしい、ミルクブラウンの髪をばっちり巻いたギャルっぽい女が甘ったるい声をあげた。
どうやら主催者のリッコの友達らしい。
「ごめんごめん!
じゃーさっそく自己紹介からはじめよっか。
あ、アタシからいくね!」
オレたちもいそいそと席について、お決まりの自己紹介が始まる。
「竹川理津子、第三高校の1年生です!
バレー部で、シュミはプリクラ集めだよー。
リッコって呼んでね☆」
オレらの側も西高側もほどほどにテンションが高めで、結構いい雰囲気だ。
順番に自己紹介していって、オレの番がくる。
「天瀬慧、15歳、帰宅部やってまーす。
コンビニでバイト中。
みんな、ヨロシクね」
言い終わると、女子が軽く沸き立った。
「第三高の天瀬クン!」
「やっぱチョーかっこいーね」
「いっぺん喋ってみたかったんだぁー☆」
リッコが言いふらしたのか?
どうやらみんなオレのことを知ってるらしい。
折角だから愛想を振りまいとく。
爽やかな王子スマイルを西高女子に向けると、アツい視線が返ってきた。
うん、今日も絶好調。

