そんなこんなで上手く押し切って、その昼休みはぽつぽつ柚子と会話することができた。
柚子は態度こそ無愛想の塊なんだけど、こっちから話しかけるとついつい無視しきれないらしい。
コミュニケーションの経験値は低いんだな。
あしらい方が上手いワケじゃないんだ。
といっても返事自体はまだぶっきらぼうで、
「土日とか何してんのー?」
「読書」
「ずっと本読んでるだけ?」
「家の手伝いもする」
「エラいんだねー」
「別に偉くない」
って感じだ。
まだ緊張してんのかな。
教室のあちこちから、ヒソヒソ声が聞こえてきたけど気にならなかった。
オレたちの組み合わせは確かに珍しい。
けど、しばらく噂してたらみんな飽きるだろうと思って、ただ出来損ないみたいな不器用な会話を楽しんでた。

