「………」
「柚子?」
「…………行く」
「ほんと?」
「あー行く、行ってやる!
行けばいいんだろ畜生」
ヤケになった柚子が軽く机を叩いた。
心底嫌そうな顔だけど、ひとまず成功だな。
「じゃあ、今日の終礼終わったらオレのとこ来てね。
竹川とか今井も一緒だから」
「…誰だ、そいつら」
「知らんのかい!?
あーほら、アイツとアイツだよ。
柚子さん、クラスメイトの名前くらい覚えようね」
「善処する」
さすがに今のは気まずいらしい。
わざとらしく目を逸らす柚子をオレは半眼で見つめた。
まさか同じクラスの奴の名前がわからないとは…。
正直、この子の社会没交渉レベルを侮ってた。
しょーがない。
まずは独りメシから救い出すところからだな。
「まぁいいや。
とりあえずメシ食おうぜ、メシ」

