「…待て」
「ん~、なに?」
「待て早まるな。
何が欲しい。金か」
「別に金なんていらないよー。
オレ、こう見えてもぼっちゃんだしね」
ぼっちゃんていうか、資産家っていうかね。
まぁこんな公立高校に来てるのは、オレの趣味だけどさ。
「欲しいのは、キミ」
「はぁ!?」
普段ツンケンしてる美少女が、目を白黒させる様は面白い。
「お、お、おま、頭、おか、オカシイだろ!!」
ちゃんと息できてる?
ゆーずちゃん。
「んー、なんでそんな驚くの?
オレはただ、友達になってほしい、って言ってるだけだよ?」
「馬鹿が、明らかに表現がおかしいだろ…」
ジト、と睨みつけてくる柚子。
うん、まぁ、美人はどんな表情しててもサマになるね。
「で、なってくれるの?
友達」
別に友達になるくらい、困ることなんかないだろうに、柚子はしばらくうなってからものすごい渋い顔で返事をした。
「本来なら願い下げだが、仕方ない。
表面上の友人付き合いならば妥協しよう」
この子弱み握られてる立場なのに、なんでこんな偉そうなんだろう。
「やった♪
じゃあよろしくねー。
オレのこと、ケイって呼んでよ」
「却下だ。
さっさと自分の席に帰れ、バカ瀬」
バカ瀬はないわー。
一応、アダ名で呼ばれたってコトになんのかもしれないけど。
ちょっと肩を落としながら柚子に背を向けると、後ろから声が飛んできた。
「お前は私の天敵だ。
殴られた意味、忘れるなよ」
「はいはい」
その殴られた意味が知りたくて、友達になってもらったのにな。
まぁ、面白いクラスメイトで遊びたいっていうのが、本音だけどね。

