「ね、柚子。
昨日のコトなんだけど」
そう言うと、小さな肩がぴくっと動いた。
恐らく彼女はこう思ってる。
天瀬圭は襲われたことに恨みは持っても、あまり他人に言いふらしたりはしないだろう、と。
だってどう考えても、身長が150もないインドア系女子に襲われるなんてカッコ悪すぎる。
広まったらオレの評判は多少、落ちるだろうね。
でも、甘いよお嬢ちゃん。
この現代社会、立場を危うくするのはいつだって、加害者の方なんだからさ。
「柚子ちゃん。
あのコト、オレ、言っちゃうね」
口元には悪魔の笑みを。
うん、オレ、今輝いてる。
「言うって、誰に?」
「そりゃもう、学校中に。
生徒にも先生にも。
いくら柚子ちゃんが女の子でもさぁ、同級生をボコボコに殴り飛ばしたって事実は変わんないよね。
ひょっとしてコレ、暴行ってやつなんじゃないのー?
あー、悲しいなぁ。
クラスの可愛い子が、男子生徒を殴って停学だなんてさ。
親御さんはどうおもうかなぁ」
「!?」
カワイイよ、そのビビってる顔♪

