来たときと同じように、赤い上履きが枯草をクシャクシャ踏みしめる。
そのまま去っていくと思ったら、校舎の角のところで、宮迫は立ち止った。
「いろいろ喋って、ちょっとすっきりしたかも」
本人は小さくつぶやいたつもりなんだろうけど、オレの耳には届いていた。
なんだかんだで、あれで毎日寂しい思いをしてたのかな。
今まで興味も接点もなかった謎女、宮迫柚子。
張り手の痕がまだじんじん痛むのに、不思議と宮迫を嫌いになりそうにはなかった。
変なキャラづくりにハマった中学生みたいな喋り方と、
引っ込み思案な性格の反動みたいな、根拠のない激しい怒り。
あれは本当に、オレたちに怒ってたのかな。
そう思うと宮迫が気になってしょうがなかった。

