西野くんの偽カノジョ




西野くんは目を見開くと、怒り出すかと思ったら…


哀しそうな顔をして「結衣…」と力なさそうな声であたしの名前を呼んだ。



こんな顔をさせるつもりじゃなかったのに。



あたしの醜い心のせいで西野くんを傷つけてしまった。



いつもはたくさん女子が葵くんの近くにいたって我慢できたのに…



もうあたしの口は止まらなかった。



「…嫌なんです。



葵くんが他の女の子と楽しそうに話すのも…



お弁当を受けとるのも…



頭を優しく撫でるのも…



他の女の子はして欲しくないんです!」



その場にいられなくなって、西野くんから離れようとした時…



彼に腕を掴まれてあたしは彼の腕の中に拘束されてしまった。



葵くんから逃げようと抵抗しても、葵くんはあたしが抵抗するたびに力を強くしてきて



結局、葵くんから逃げることはできなかった。