あたしは中庭に来ると、近くのベンチに座って泣いていた。
「ぐすっ…ふぇーん」
心の中がモヤモヤする。
…嫌だった。
あんな光景見たくなかった。
いつもみたいにあの女の子も対応して欲しかった。
「結衣!」
葵くんの声が聞こえて頭を上げると息を切らしながら走ってくる彼がいて
でもこんなヤキモチ妬いてることを知られたくなかったし、会いたくなかったあたしはまた逃げようと立ち上がった。
「逃げんなよ!…離れていこうとするんじゃねぇ!」
あたしは葵くんから逃げようとしたのに葵くんの言葉によって体が動かなくなった。
葵くんがあたしの前に来ると、あたしは小さな声で言った。
「ぐすっ…んです。」
「は?」
話を聞きながらあたしの涙を拭こうとした葵くんの手をあたしは
「…触らないで下さい。」
と言って拒んでしまった。

