泣いてるの見られたくなくて、下ばっかり見てたら知らない人にぶつかっちゃった。
「ぐすっ…ごめ、ごめんなさい…ふぇ」
「…結衣ちゃん?」
あたしは思わず顔を上に上げた。
すると、心配そうにあたしを覗いてくるハルくんがいた。
「ハ…ルくん」
「ごめんね、そんなに痛かった?」
あたしは首を必死に横に振った。
そして、後ろを振り向くとその光景を見ていた葵くんが女の子を置いてこっちに向かってきて
葵くんに会いたくなかったあたしはハルくんに本当にごめんなさい!と嗚咽を抑えながら言うと
ハルくんに「結衣ちゃん!」って呼ばれたのに聞こえてないふりをして
その場から逃げるために急いで階段を降りて、人気の少ない中庭に行った。

