あたしにしか聞こえない声で囁いた彼。
心底びっくりした。
違う世界に行ったかと思ってしまうくらいの甘い言葉だった。
後にも先にもって……
先はあたしと別れなければそうだけど…
後にもって……
本当に?って顔をして彼を見つめると
「本当だよ」
と言って彼は目を逸らさなかった。
なんか今日の葵くんはいつもの葵くんと違う気がする。
だって普段はこんなに口数多くないし、こんな甘い言葉も囁かない。
…クリスマスだからかな?
葵くんはこの状況に気づいたのかあたしの手を繋いで行くぞと言うと
駅まで速歩きで行って電車に乗って地元の駅まで帰った。

