西野くんの偽カノジョ




葵くんはすぐには唇を離してくれなくて、気付いたら深いキスに変わっていた。


少し時間が経って唇が離れると、一瞬あたしの目を捕らえると今度は抱き締めてきた。



「…悪かったよ。元々はお前のせいだからな。



…そんな格好してくるから。」



と最後の言葉は前よりも小さな言葉だったけどあたしは逃したりしなかった。


「似合わないならあたし…着替えてく…」



あたしが葵くんの胸を押そうとしたら



「バカ、結衣の今日の格好いつもと違って可愛くて目なんか合わせられなかったんだよ…」



上から照れくさそうな声が降ってきた。



え……そうだったの?



顔を上げると「見んじゃねぇ」と言って片方の手であたしの頭を葵くんの胸に押さえつけてきた。