西野くんの偽カノジョ




待っているのは結構好きだったりする。



ただ単に葵くんを待つのが好きなだけかもしれないけれど。



ドキドキして落ち着けるために空を眺めていると



「結衣」



と大好きな声で呼ばれてその方向を見ると葵くんがこっちに向かって走ってきた。



か、かっこいい…



コートがいつもと同じ黒だけど違うコートだ。



本当に何でも着こなせちゃってすごいな…



最近制服ばっかりだったから私服がすごく新鮮な感じがする。



昨日のクリスマスの集まりも制服で持ち込みOKのカラオケでやってたみたいだし。



「家で待ってろよ、そのために結衣の家まで迎えに来たのに」



と葵くんはぼやいている。


「でもあたし今出てきたばっかりだから全然寒くないし、大丈夫だよ?」



「…これからはもっと早く来る。行くぞ」



葵くんから差し出された手を繋いであたしたちは歩き出した。