「あの日…西野くんの家から飛び出して、その後葉山先輩と一緒にいたのは訳があって……
でも、決して浮気とかしてた訳じゃないんです。」
あたしは信じてもらうために真剣な目で西野くんを見つめた。
これは本当のことだから。
「…分かってるから。俺もあの日余裕がなくてあんなこと言って…悪かった。」
すまなそうに謝る西野くんにあたしは首を横に振って話を続けた。
「あたし…今、アルバイトしてるんです。
駅前にある葉山先輩の両親が経営しているケーキ屋さんで。
黙っててすみません。
でも、ちゃんと訳があるんです。今までのこと全部話すので聞いてもらえますか?」
あたしの話し方は伝える方が必死で敬語とかタメ語とかそんなことを気にしている余裕なんてなかった。
どんな形でもただ、西野くんに話して分かってもらいたかった。

