西野くんの偽カノジョ




洗い物を終えて、テーブルに用意されてあった体温計を脇に挟んで少し待っていると……



―ピピピ…



と計測終了を表す音が鳴って、体温計の画面を見てみると37.2度と表示されていた。



これくらいなら大丈夫。


今日早く寝れば明日には普通通り学校に行ける。



バイトのシフト今日は夕方からで良かった。



「いくつだった?」



「もう大丈夫です!」



微熱あるなんて言ったら、きっと西野くんに心配掛けちゃうし。



そんなあたしに西野くんは「いいから言え」と口には出さないけど、示してくる。



「36.2度です!平熱なのでもう大丈夫です。



看病してくれて本当にありがとうございました。」



あたしはちょっと待っててと言って足早にリビングを出て、西野くんの部屋に向かった。



遅くなっちゃったけど受け取ってくれるかな?



西野くんの部屋からバックを見つけるとすぐにリビングに戻った。



でも……あたしは忘れていた。



体温計の電源を切り忘れていたことを…。