「…い!」
「結衣!結衣!」
とあたしの名前を呼んで体を揺すっているのに気づいて
重い瞼をゆっくり開いてみると……心配そうな顔をした西野くんが目の前にいた。
「…西野…くん」
あたしは夢からまだ覚めたか分からなくて、怯えながら彼の名前を呼んだ。
「お前大丈夫かよ?ずっとうなされてて…
しかも泣いてたし…」
西野くんはそう言うと、あたしの涙を優しく拭ってから強く抱き締めた。
…良かった。
さっきのは夢だったんだ。
本当に良かった。
「西野くん…怖かっ…たよ…」
あたしは西野くんの服の袖をギュッと握った。
「もう大丈夫だから。もう1度寝るか?」
あたしはフルフルと首を横に振った。
もうあの夢はみたくないのもあったけど、
久しぶりに西野くんの温もりを感じてそばを離れたくなかったから。

