外は辺り一面雪景色で、今も雪がシトシトと降り続いていた。
誕生日に雪とかありえねぇーと思いながらも俺は全力で走った。
こんな無我夢中で走ってたから当然連絡する考えさえ思い浮かばなかった。
頭の中に思い浮かんだのはこれだけ。
“どうか家の前にいないでいてくれ”
確かにいてくれたら嬉しいことには変わりないが
こんな雪だし風邪どころじゃ済まなくなる。
だけどこの願いは見事に打ち砕かれた。
「はぁ…はぁ…結衣?」
走って家に近づいていくと、俺の家の前で1人ぽつんと待つ誰かの姿。
まさかな…
俺の声に気付いたのか、こっちをゆっくり振り向くとその姿は間違いなく結衣で
「西野…くん……」
と俺の名前を呼ぶと、一瞬微笑んでそのまま地面に倒れて行った。
「結衣!」
…俺は結衣を抱き止めるのに精一杯だった。

