西野くんの偽カノジョ




外は冬だし日は短いから来たときから暗めだったけど、さすがに今は真っ暗だ。


空から雪がシトシトと降っていて、もう寒いのか暑いのかさえ分からなくなってきた。



西野くん今日は帰って来ないのかな?なんて思ったりもするけど



どうしても“帰る”という選択はあたしにはなかった。



とりあえず、西野くんの家に着いたときにお母さんには【帰り遅くなるから心配しないで。】って送ったけど



雪が降ってるし、それ以来連絡してないからきっと心配してると思う。



最初は何時間でも待ってて誕生日プレゼントを渡して、全部話を聞いてもらうって意気込んでいたあたしは


…正直今はもう限界で意識も朦朧としてきた。



そんな時遠くから走る足音が聞こえてきた。



視界がぼやけてきて…近付いてきても分からないけど


「結衣!」



って大好きな声で呼ばれたあたしは何だかすごく安心してホッとすると……



そのまま意識が途切れて地面に倒れた。



最後に聞こえたのは大好きな大好きな彼の声でした。