西野くんの偽カノジョ




―――――…



「結衣ちゃん、上がっていいよ!お疲れ様。」



とおばさんに言われてあたしは「ありがとうございます、お疲れ様です。」と言ってお店から事務所に入った。



30分の休憩をもらった時は葉山先輩に甘えて、モンブランといちごのタルトを食べてしまったあたし。



そんなあたしが食べてる姿を見かけたおばさんがわざわざ紅茶まで淹れてくれた。



そのおかげであたしの暗い気持ちが落ち着いたんだ。


あ!西野くんが家にいるか分からないけどとりあえず、ケーキ買って行かないと。


と思ってバックから財布を取り出して、お店に戻ろうとしたらおばさんと鉢合わせして



「そうだ!思い出した!」と言ったおばさんはお店の冷蔵庫から箱を取り出すとあたしに渡した。



「あの…」



「翔太が息抜きに来てたのちょうど見てたの。



だからそれは残りの代金分のケーキ。」



え……うそ!



あたしはシールを剥がして中を見てみると、たくさんいろんな種類のケーキが並んでいた。



「こんなにたくさんもらえません!



それにあたし一番高いいちごタルトとモンブラン食べちゃったし……」


おばさんはちゃんとその分は抜いてあるって言ったけど、絶対そんなの嘘だよ。