西野くんの偽カノジョ




「あと、コーヒーも」



あたしは言われるがままにコーヒーをついでトレーにケーキとコーヒーをのせると



葉山先輩は「これで」と言って5000円お金を出すと


「何があったんだか知らねぇけど、



顔に出さないように必死に隠してたって俺にはすぐに分かるんだからな。



お釣りはいらないから休憩の時間になったら好きなだけ食べて元気出せ。じゃあな。」



と言うと、葉山先輩はトレーを持ったまま家の階段を上って自室に行ってしまった。



葉山先輩…



「…ありがとうございます。」



本当に優しすぎるんだ。


ケーキとコーヒーで1000円にも満たないのに



残りの4000円以上も確かにここのケーキは大好きだけれどそんなに食べられないよ。



しかも、自分の家のお店なんだから払わなくても?って思っちゃうけど



葉山先輩はちゃんとそういうところまでしっかりしてる。



抜け目がないっていうか本当に凄くて憧れる。



決して、葉山先輩のようにはなれないけどね。



でもこんなにいろんなことをしてくれても、あたしには西野くんじゃないとだめなんだ。