西野くんの偽カノジョ




「本当にお前はバカ」



と言うと、いつもは見せてくれない笑顔をしながらあたしの涙を1つ1つ拭ってくれた。



「…ごめんなさい」



「誰も謝れなんて言ってねぇし。



俺の本当の彼女になる方法を教えてやろうか?」



悪戯な笑みを浮かべながら話す西野くんに



あたしはどうしても知りたくてコクンコクンと2度頷いた。



「…簡単だよ。



その他人行儀なくして、敬語を止めて…



西野くんじゃなくて名前で呼べばいい。」



西野くんにとっては簡単かもしれないけど



あたしにとっては…



「無理しなくてもいいけど。



…ずっと本物の彼女になれなくていいならな。」



「嫌だ……です。」



結局間を開けて敬語を言うあたし。



だっていきなり敬語ナシに名前呼びって…



照れるし、恥ずかしすぎる。