西野くんの偽カノジョ




「結衣、送ってやるからとりあえず顔洗ってこい。」


やっぱり顔酷いんだ。



このままじゃ帰れないもんね。



あたしは素直に「はい」と返事しておばさんに家の洗面所に案内してもらって
クレンジングオイルと洗顔フォームを借りてメイクを落とした。



いつもの自分の顔に戻ると、おばさんが気を遣って



「大変なら今日は仕事休んでいいよ」



って言ってくれたけど、土日は混むし


やっぱりあんな風に言われても西野くんが好きだし、プレゼントをあげて喜んでもらいたいから



「夕方には切り換えて元の自分に戻るので働かせて下さい。」



と言って葉山先輩の所に行った。



「葉山先輩、待たせてすみません。」



「いいから。ほら行くよ。」



葉山先輩はそれだけ言うと先に歩いて行った。



「はい!…ひとみ本当にありがとね。また後で来るね。」



「うん、待ってる!」


あたしはひとみに手を振ると「頑張って」と言って、小走りで葉山先輩の所に向かった。