西野くんの偽カノジョ




「とにかく、ちゃんと西野くんともう1度話しなよ。」



「…今日じゃなくちゃだめ?」



できるなら今日はもう会いたくない。



こんな涙腺弱いまま行ったらまた泣いてしまいそうだし



それに言いたくないことまで言ってしまいそうだから…



「早い方がいいと思うよ?溝が深くなる前にね。



大丈夫だよ。西野くんと結衣が別れたりすることはない。



もし、そんなことになったら私が西野くんに怒りに行ってあげるから。」



「…ありがとう、ひとみ」


ひとみがそこまで言ってくれるなら…あたしはそう信じるよ。



明日もう一度西野くんに会いに行く。



「また何かあったら言って?



話してくれて嬉しかったし。」



ニコッと笑いながらまた窓拭きを続けるひとみ。



あたしなんかバイトの邪魔しに来ただけなのに。



そんな風に捉えてくれるのはひとみだけだよ。



…ありがとね。