西野くんの偽カノジョ




side 葵



「は?」



朝からお前どうしたの?


俺は驚いて一文字しか言えなかった。



そんなこと数えるほどしか言ったことないのに。



「…オレンジジュースが。



フルーツジュースの中で1番オレンジジュースが好きなんです。



子供っぽいとか言われちゃうんですけどね。」



と笑顔で答える結衣。



何だよ…そう言うことかよ。



「はぁ…」




てっきり俺のことかと思ってたのに好きなのはオレンジジュースかよ。



もういいよ。



夕方から用事があるって言ってたし、結衣は勉強苦手らしいからそろそろ始めようと思ったら今度は…



「あの…やっぱり反対側に行っていいですか?」



と上目遣いをしながら言ってきた。



だから俺はオレンジジュースの仕返しに柄でもないことを言って結衣を困らせた。



「さっきから下見てばっかでそんなに俺の隣が嫌なわけ?」



と…