西野くんの偽カノジョ




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葉山先輩の家のケーキ屋さんでアルバイトを始めて3日経った今日は土曜日で学校がお休み。



今日のバイトは夕方からで、それまでは西野くんの家で勉強を教えてもらうことになっている。



発端はもう付き合って1ヶ月ちょっと経つのに2人で帰ったりはするけど、遊んでないことから。



でもこの期末テスト前に遊ぶ勇気はあたしにはなくて…



それで思いついたのが西野くんに勉強を教えてもらおう!ってことだった。



西野くんに断られる気で「土曜日…あたしに勉強教えてもらえませんか?」



って頼んでみたら、「…いいよ。」とあっさりOKしてくれて



話題をたくさん出せないと悟ったあたしは毎日バイト終わって1時間、朝早起きして2時間勉強して分からない所を今日までにたくさん発掘して教えてもらうことにした。



あたしは最近買ったお気に入りのワンピースにコートを羽織って、髪も少し巻いて、いつもはしないメイクをすると勉強道具を持って西野くんの家に向かった。



西野くんの家は付き合う前に西野くんが熱を出したときに行ったから、ちゃんと覚えてる。



この後、バイトで制服も持ってきたから絶対にバレないようにしないと。




昨日なんてハルくんに「駅前にいなかった?」なんて聞かれちゃったし。



そんなことを考えているうちに西野くんの家の前に着いたあたしは髪を整えて、服をチェックしてから、ゆっくり家のチャイムを鳴らした。